IRとCSRをちょっとナナメから考えてみる〜ある実務家の備忘録

統合報告書(Integrated Reporting)・IR(Investor Relations)・CSR(Corporate Social Responsibility)に関連するテーマについて、思ったことを書き綴っていくブログです。なにかの役に立てばいいなぁ☆

GRIスタンダードの対照表作成で参考になった2社(ライオンとSOMPOホールディングス)

 

 

 

目次(約1,700文字)

 

 

今年から適用されるGRIスタンダード

 

1年以上更新が空いてしまいましたが、今年こそは更新頻度をあげていければと思います。

 

年があけてCSR担当者は2018のレポート企画で悩ましい時期を迎えています。

今年はESG評価機関対応に加えて、GRIスタンダードの対応をしなければならないので準備が大変ですね。

 

そこですでにGRIスタンダードの対照表を開示している企業を参考に、自社版の作成を進めているのですが、まぁ悩む場面が多いわけですよ。

 

GRIスタンダードについては下記よりご確認ください。

https://www.globalreporting.org/standards/gri-standards-translations/gri-standards-japanese-translations-download-center/

 

 

GRIスタンダードって何が変わったの?GRI103の開示さ!

 

G4からの変更点などの詳細はまとめてくれている記事をご参照ください。

http://www.csr-communicate.com/global/20161213/csr-30943

http://www.cre-en.jp/library/column/170117/

 

モジュール構造については、ルール作成者側の話なんだからそこを強調する必要はないかと思いますが…。

 

個人的には、「自社のマテリアルな側面を特定し、そのマネジメント手法と評価について開示せよ」というGRI103の考え方が最重要かと思っています。

この点はマテリアリティを設定している企業はなにも迷うことはなく、シンプルにアピールできるのではと思っています。

 

逆に「なんちゃってマテリアリティ」を定めて、事業活動と実態がかい離している企業は悩むんだろうなぁと思います(遠い目)

 

独自解釈であることをご容赦いただき個別に振り返ってみたいと思います。

 

 

GRIスタンダード対照表の開示、特に「準拠」と「103」の開示についてなんかおかしくない?

 

2018年1月17日付にて筆者のネット検索してみたら、20~30社くらいがGRIスタンダード対照表を開示していました。

 

各社の対照表を見ていくなかで、筆者個人としては「準拠」の項目やGRI103の開示が気になるわけであります。どれだけカバーしてるのか目安になりますからね。

 

早速各社をみていくと

 

どれどれ、

 

あれ、

 

どの会社も

 

準拠の項目(中核か包括)を主張していない・・・

 

GRI103の開示をガン無視してる事例がけっこうあるけどいいのか・・・

 

って感じになりました。

 

2017年に前倒しで開示する企業姿勢と努力は素晴らしいのですが、いかんせんGRIスタンダードの要求項目をスルーしてしまっている事例が多かったのが気になりました。

特にGRI103の項目について、ちょいと勘違いしている(?)のかなと心配になってしまいました。

なにを偉そうなこと言ってんだと怒られそうですが、違和感を感じたことは事実だったので書かせていただいた次第です。

 

その中でも参考になった二社の事例をご紹介したいと思います。

 

マテリアルな側面で参考になるのは「ライオン」

 

http://www.lion.co.jp/ja/csr/guideline/gri/

 

ライオンの回し者ではありませんよ、わかりやすかったので紹介したいだけです(本当)

同社はGRIスタンダード対照表の開示に至るまでに、下記の流れを解説しています。

 

(1) マテリアリティ(重要課題)の考え方

(2) 関連性の強いGRIスタンダード側面の整理

 f:id:katzoman:20180117202521p:plain

注:http://www.lion.co.jp/ja/csr/guideline/gri/より引用

 

これが非常にわかりやすい!!

GRIスタンダードが今回重視している(と筆者が思っている)GRI103の開示について、非常に丁寧な整理がされています。

これがあるお蔭で、ライオンのCSR重要課題とGRIスタンダードの関連がグッと深まっています。

ただ対照表を開示するだけを対照表1.0とすれば、ライオンの事例は対照表2.0だと言えます(筆者のなかだけで)

 

強いて言えば…強いて言えば、103-3マネジメントの評価についても開示されているとパーフェクト!な感じだったんですが非常に参考になる事例だと思います。

 

ライオンさんとってもとっても参考になりましたぁ!ありがとうございまぁす☆

 

対照表作成で一番参考になるのは「SOMPOホールディングス」

 

http://www.sompo-hd.com/csr/communications/gri/

 

SOMPOの回し者ではありませんよ(苦笑)

同社の対照表はGRIスタンダードとG4の対照になってるいて、初回のGRIスタンダード対照表作成のある種プラットフォームになるんじゃないかと思っています。

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注:http://www.sompo-hd.com/csr/communications/gri/より引用

 

あやうくSOMPO様に惚れてしまいそうになりました(なってはいない)

 

他には、東京海上ホールディングスやNISSHAも非常に参考になりました。

 

東京海上ホールディングス

http://www.tokiomarinehd.com/sustainability/library/guide.html

 

NISSHA

http://www.nissha.com/csr/gri.html

 

さいごに GRI103の開示方法をもう一度確認しよう

 

今回複数社を調べてみえてきたのが、GRI103の開示方法をもう一度確認したほうがよいかなという部分でした。

GRIガイドラインはソフトローなので、別にガイドラインの作り方を間違えてようが現時点では大きな問題はないかと思いますが、ESG評価機関からのレピュテーションには少なからず影響を与えることが懸念されます。

 

CSR担当者のみなさま、GRIスタンダード対照表作成は大変かと思いますが、ともに頑張っていきましょう。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。